「看護師」といえば女性? 敬愛学園高生、探究インターンで考えた
教育話題
芳垣 文子
ライター

職業にまつわる「ジェンダーバイアス」を克服するには——。
こんなテーマで3月、ワークショップを中心とした授業が敬愛学園高校(千葉市稲毛区)で行われました。朝日新聞社と博報堂が企業や団体と連携して課題解決の事例やノウハウを高校生と共有する「探究インターン」というプログラムの一環です。看護師の仕事を題材に、この仕事特有のジェンダーバイアスについて、生徒たちは約3時間活発に議論、具体的な提案も発表しました。
参加したのは1~3年生(3月現在)の希望者18人。男性が少数派という看護職特有の現状を通して「ジェンダーバイアス」問題への理解を深めるのが狙いだ。
授業には、医療従事者のキャリア形成を支援するサービスを運営する株式会社エス・エム・エスの担当者も参加。少子高齢化のグラフをモニターに映し出し、看護職の人手不足の状況を示しながら「看護を受けたい人と担う人とのギャップが課題。看護師を増やすのが我々の使命です」と説明した。
「子どもが熱を」は女性の声…無意識の固定観念に気づく
最初は「そもそも『ジェンダーバイアス』ってなに?」からスタート。聞いたことがあるかとの講師の問いかけに、数人の手が挙がった。
そこで、60秒の動画が流れる。サッカーボールや体温計のイラストに、「サッカーしようよ~」、「子供が熱を出したので有給取らせてください」などのせりふが文字で映し出される。「聞こえてきたのは、男性の声ですか?」「女性の声ですか?」とナレーションが問いかける。テレビでもたびたび流れたACジャパンのあの動画だ。
生徒たちはどんな声を想像したかというと、「子供が熱を出して……」は、「30代くらいのお母さん」、サッカーボールには「小学校5~6年くらいの男の子」。
講師が「無意識に性別による見方をしてしまうのが『ジェンダーバイアス』、それが今日のテーマです」と指摘すると、「そうか」と気づいたような表情を見せる生徒もいた。
ここで最初のワークショップに取り組む。四つのグループに分かれ、思いついた「ジェンダーバイアス」を書き出す作業だ。
「ランドセルの色は男子が黒、女子は赤」「髪の毛は女の子は長い、男子は短い」「男子は理系、女子は文系」「看護師は女性」「総理大臣、大統領は男性」——模造紙に付箋(ふせん)が次々と貼り付けられていく。
一つのグループからは、「女の人は運転がへた、ってのもあるよね」「あー、それダメですね」……
芳垣 文子
元朝日新聞記者。北海道報道センター、東京社会部教育班、鎌倉支局などで勤務。入社前に教職の経験がある。