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教員3人が語り合う 「金融ミュージアムOtemachi」 ~没入体験で広がる視野 深まる学び~

教育話題

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2025.03.24

PR by 三井住友銀行
金融ミュージアムOtemachi_9

金融教育は、学習指導要領の改訂に伴って充実が図られてきましたが、その題材を提供してくれる施設が東京・大手町にあります。三井住友銀行が運営する「金融ミュージアムOtemachi」です。朝日新聞社は、この施設が金融教育にどのように活用できるかをめぐり、高校教員3人による座談会を開催しました。金融リテラシーの重要性が高まる中、語り合った同ミュージアムの価値や可能性とはどんなものだったのでしょう。進行は朝日新聞社の教員向けサイト「先生コネクト」編集長の片山健志が務めました。

目次

      高度な内容もゲーム感覚でサクッと

【参加者】
・大畑方人さん(ドルトン東京学園中等部・高等部教諭=公民科)
・塙枝里子さん(東京都立農業高等学校主幹教員=公民科)
・逸見峻介さん(埼玉県立新座高等学校教諭=地歴科)

高度な内容もゲーム感覚でサクッと

三井住友銀行管理部企画グループ長、樋口由輝さん(左端)の説明を聞く教員の皆さん

――施設をご覧になった感想からお聞かせください。

大畑方人さん 没入できるような仕掛けや工夫が随所に見られ、「没入感」がこの施設のコンセプトなのだと感じました。「金融/知のLANDSCAPE」の7つの知の柱(モノリス)は、カードを次々と選びたくなります。「Financial Archives(フィナンシャル アーカイブス)」のVRも非常にリアルで、実際に三井住友銀行神戸営業部の貨幣資料室にいるような作りになっています。

塙枝里子さん ホームページで見るより、実際に訪れてみたほうがおもしろいと感じました。インターネットで調べれば事足りるかもしれないと思っていたのですが、現地ならではの体験がたくさんありました。

例えば、モノリスのコンテンツに関してです。生成AIで調べれば済むのではと思っていたのですが、来てみなければ没入感、実際に得られる学びや発見は分かりませんでした。哲学者ソクラテスの言葉をはじめ、教科書に載っているような偉人たちが金融にまつわる話をしていたのも印象に残りました。

逸見峻介さん モノリスのコンテンツが非常に充実していて、自分が興味を持ったテーマ以外にも視野が広がるような仕組みが魅力的ですね。いくつかのコンテンツで、選択すると次のヒントが複数出てくるようになっていて、自然と自分で調べる流れが生まれるのが没入感につながるのだと思います。

これほど多くの内容を、あれだけの分量でまとめ上げたのは本当に大変だっただろうと思いますし、その制作過程に作者たちの「本気」を感じました。

金融にまつわる知識をテーマごとにまとめた「7つの知の柱(モノリス)」

――モノリスではコンテンツを選ぶと別のコンテンツが表示されます。パソコンやタブレットを使って検索するのと、どんな違いがあるでしょうか。

大畑 ただ検索するだけでは、どうしてもその情報しか得られない場合が多いですが、この施設では関連情報に自然につながっていく仕組みがあります。分野ごとに情報が整理されているので、歴史的背景やルーツのような部分にもアクセスしやすい。ルーツを知れば、物事の本質が見えやすくなる点がとても良いと思います。

逸見 特におもしろかったのは、Financial Missions(フィナンシャル ミッションズ)です。高度な内容をサラッと実現していました。株式の変動が何によって起こるのかといった仕組みを膨大なデータを用いて表現しているのだと思います。ゲーム形式でサクッと学べるのは、高度な試みだと感じました。

Financial Missionsでは「貯める」「借りる」「育てる」をゲーム感覚で学習できる

校外学習に組み込み自ら学ぶ機会に

――学習に金融ミュージアムOtemachiを活用するとしたら、どんな使い方が考えられるでしょうか。

 私は夏季休業中に生徒たちを東京証券取引所や霞が関などに連れて行くのですが、校外学習のプログラムに組み込めば、生徒一人ひとりが自分の力で学ぶ機会を得られるのではないでしょうか。体験型の施設なので、生徒が実際に触れて学べます。修学旅行のルートに入れることもできると感じました。

――教科や具体的な学習のイメージはどんなものでしょうか。

 中学校では社会科、高校では公民科。地理や歴史の要素もかなり含まれているので、地歴科も良いと思います。あとは家庭科でしょうか。過去、家庭科の先生と一緒に校外学習を引率したこともあり、この施設を取り入れた教科横断的な学習もできそうです。

逸見 夏休みなど長期休業中に訪れて学ぶのに最適な施設だと思います。設定したテーマに関連することを生徒たちがインターネットで事前に調べたり、インタビューで情報を集めたりした上で訪れれば学びが深まります。

特に歴史や公民の授業で活用できるでしょう。私が担当する歴史では、テーマ史を学ぶ形が多いですが、経済史は多くの歴史科の教員が得意としない分野なので、外部の力をうまく活用するのは有効だと感じます。修学旅行や校外学習など、一度に2030人程度までなら可能ではないでしょうか。

探究学習のテーマにも活用できそうです。基礎知識をある程度持ってくれば、さらに視野が広がると思います。生徒は成果物を作るとそれで満足してしまいがちですが、調べた内容を肉付けしたり修正を加えたりすれば、より充実した学びになります。

モノリスでは、カードに触れることで説明や関連するコンテンツが表示される

大畑 大手町にある点が大きな魅力です。デジタルコンテンツは充実していますが、実際にこの街に足を運び、施設を体感して得られる学びが大きいと感じます。修学旅行では、日本橋かいわいにある東京証券取引所や日本銀行などとあわせて巡るモデルコース※1を作れば、実践的で多様な学びができるようになり、効果的だと思います。

 ※1 三井住友銀行は現在、見学モデルコースの設定について協議しています。

それと、塙先生もおっしゃっていましたが、モノリスに表示される偉人たちの名言がおもしろかったです。それぞれの柱にはコンセプトがありますが、例えば名言だけを一覧で表示できれば、深掘りするきっかけになるのではないでしょうか。

18歳成年に求められる金融リテラシーとは

――金融ミュージアムOtemachiが生まれた背景に、お金に関する知識や判断力、つまり金融リテラシーが注目されるようになったことがあります。どんなお考えをお持ちですか。

 金融リテラシーには、個人の幸せを実現するだけでなく、社会全体の幸福や未来を考える役割があります。金融広報中央委員会による金融教育の定義※2では社会参画の視点が掲げられており、私も重視しています。

※2 金融教育の定義 金融広報中央委員会は2007年、金融教育を「お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」と定義した。

とはいえ、それにはまず身近なテーマから始めなければなりません。Financial Missionsでは、自分のお金の貯蓄や管理、増やし方が学べるので、社会参画や投資などの広い視点を持てるようになるでしょう。

大畑 高校の学習指導要領で金融教育の充実が求められていますが、学校現場では資産形成などパーソナルファイナンスが重視されている印象があります。しかし、金融リテラシーを高める意義はそれだけにとどまりません。例えば、ESG投資などのように自分の経済活動が社会全体にどのような影響を与えるのかを想像し、考えられるようになる必要があります。

金融ミュージアムOtemachiの可能性について話し合う

――民法改正により、2022年に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。生徒の意識も変わってきていますか。

逸見 3年生になると「クレジットカードを早く持ちたい」といった傾向が強く見られるようになります。契約に関わる機会も増えるため、金銭的なスキルを磨く必要性を感じます。一方で、闇バイトなどのリスクも存在し、生徒が未来に希望を持ちながら自分の身を守るためにも金融教育は不可欠と強く感じます。

 私の勤務校では、これまで金融や経済に興味を持つ生徒は少なかったのですが、「18歳成年」になって変わりました。1年生の家庭基礎でパーソナルファイナンス分野(もしくは、学習指導要領にのっとり金融商品を活用した資産形成に伴うリスクとリターン)を学び、その後公共でもさらに深く学ぶ中で質問が増え、3年生になると具体的な疑問を持つようになります。これは、卒業を控え、大人として生きていく自覚が芽生えるからだと思います。

例えば、「NISAを始めたい」「クレジットカードはどうやって作るのですか」といった実践的な質問が多く寄せられます。就職する生徒が一定数いるため、相談しやすい環境を作り、早めに力を身に付けさせなければと感じています。

大畑 2016年には選挙権年齢の引き下げもあり、生徒の意識はかつてとは大きく変わってきています。クレジットカードの取得やスマートフォンの契約、自分で家を借りるといった具体的な選択肢を現実的に考える生徒もいます。それに伴う知識やスキルを提供することが、これからの課題だと感じています。

勤務校では、選択科目に起業のゼミがあり、スタートアップ支援を行う企業と連携した事例があります。生徒はビジネスアイデアを考えて発表し、一番優れたアイデアには約200万円の投資が行われ、起業が現実のものになる。この過程で、生徒たちはお金がかかる現実や、資金をどう調達するのかを実際に体験します。

大畑方人さん(ドルトン東京学園中等部・高等部教諭)

――高校生もお金を集める大変さを実感する機会ができたのですね。

大畑 そうですね。大変さを実感するだけでなく、自分たちにも社会に役立つ力があると気づいています。また、自分たちの考えや行動が社会から求められていると気づき、さらに意欲を高めているように感じます。

体験や記録が残る施設に

――金融ミュージアムOtemachiにこれから期待することは何でしょうか。

 全体を俯瞰(ふかん)して見られるようなモデルコースやガイドがあると良いと感じました。簡単なワークシートを用意して、「このコンテンツを全部クリアすると一つの言葉が完成する」「クロスワードパズルができる」などのエンターテインメント要素があると、より学校教育に組み込みやすくなるのではないでしょうか。

塙枝里子さん(東京都立農業高等学校主幹教諭)

大畑 「インスタ映え」する施設なので写真が撮影できるようにしてはどうでしょうか ※3。塙先生がおっしゃったワークシートも効果的だと思います。事前にダウンロードし、質問の答えを探しながら回る仕組みを作れば、見学が単なる体験に終わらず、学びにつながります。

※3 現在は一部エリアで写真撮影が可能になっています。

「お金は今後どうなるのか」は、生徒にとって関心が高いテーマだと感じます。キャッシュレスや仮想通貨、フィンテックに興味を持つ生徒も多いでしょう。歴史を振り返るだけでなく、将来どうなるのかを考える材料がもう少しあれば、さらに深い学びが期待できます。

 逸見 偉人の名言コーナーの横に、生徒が考えたお金の名言や川柳を並べたりするのはどうでしょう。一番良い作品を選んで施設で表彰式を開けば、生徒にとっては特別な体験になる。生徒と一緒に作り上げていく感じって、すごくワクワクしませんか。加えて、机があると勉強しながら施設を回れるので便利だと思います ※4

※4 机は設置済みです。

逸見峻介さん(埼玉県立新座高校教諭)

――1階のアトリウム(無料、要事前予約)も使えば、金融ミュージアムOtemachiでの学びを元に発表したり、意見交換したりする学習もできそうですが、いかがでしょうか。

大畑 すぐにでもできると思います。議論や発表を伴う学習に前向きな学校が増えてきているので、あとはどう学校にアプローチするかがカギですね。

 その場でインプットして、すぐにアウトプットできて、誰かに聞いてもらえるとなれば、とても充実したプログラムになります。

逸見 長期休暇中や土曜、放課後などにうまくはめ込めたら、そうした場があるというのはかなりいいと思います。

――金融やお金に対する興味を広げ、学校での学びとは異なる視点を得たり、自分とお金の関わりについて考えを深めたりできる「金融ミュージアムOtemachi」の魅力が実感できる座談会となりました。学校関係者の皆さまもぜひお越しいただき、活用していただきたいと思います。

金融ミュージアム Otemachi

三井住友銀行東館ライジング・スクエア
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-3-2 三井住友銀行東館2階
東京メトロ「大手町」駅C14出口直結

営業時間 9:00~18:00
(入場無料、年末年始は休館・その他不定休あり)

【お問い合わせはこちらから】
TEL 03-6706-9020  
MAIL: info@rising-square.jp
(受付時間 10:00~18:00※平日のみ)

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