コンサルテーションとは?学校現場で行われている内容や事例を紹介
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石原みちる
就実大学教育学部教授(令和7年4月より心理学部所属)。臨床心理士・公認心理師

コンサルテーションとはあまり耳慣れない言葉かも知れませんが、専門家が仕事上の困りごとを専門家に相談することです。長年スクールカウンセラーとして活動し、学校で行われるコンサルテーションを研究してきた筆者が、学校でのコンサルテーションについて、事例(架空)を交えて、わかりやすく説明します。
目次
1.コンサルテーションとは
教育や学校の現場で行われているコンサルテーションとは、教育の専門家である教員が、仕事上の問題で、他の専門性をもつ専門家に相談することを指します(参照:『精神療法』Vol.22 p.381~388「教師へのコンサルテーション活動の現状と課題」)。例えば、教員がクラスの子どもの対応で困ったときに、スクールカウンセラーなどの自分とは別の専門家に相談するという場面がコンサルテーションに相当します。このとき、相談する教員をコンサルティ、相談されるスクールカウンセラーをコンサルタントと呼びます。
学校でのコンサルテーションは、いくつかの立場や理論があります。カウンセリングや臨床心理学だけでなく、特別支援教育、ソーシャルワークにおいても広くコンサルテーションが行われています。それらの多くが、キャプラン,G.という研究者が提唱したメンタルヘルス・コンサルテーションの考え方を出発点としています(参照:『学校コンサルテーション-統合モデルによる特別支援教育の推進-』p.88~118「学校コンサルテーションの統合モデルの基盤」)。
英語のConsultationの語源は、諸説がありますが、「共に」を意味するconと「座る」を意味するsultから成る言葉で「専門家と共に座って相談する」という意味です(参照:『語源中心英単語辞典』)。キャプラン,G.は、地域精神医療の実践と研究の中で、メンタルヘルスの専門家が他の専門家に助言するという間接的支援に大きな意義があることを見い出し、メンタルヘルス・コンサルテーションを提唱しました(参照:『Mental health consultation and collaboration』p.6~9「Mental health consultation」)。その考えが、医療だけでなく、学校、教育の分野でも広く活用されるようになったのです。
2.コンサルテーションの大まかな流れ

石原みちる
就実大学教育学部教授(令和7年4月より心理学部所属)。臨床心理士・公認心理師。岡山県及び岡山市スクールカウンセラー・岡山県スクールカウンセラースーパーヴァイザーも務める。京都大学大学院 教育学研究科博士後期課程単位取得満期退学、兵庫教育大学連合大学院学校教育学研究科修了(博士、学校教育学)。