【先生投稿】マイ登校保護者の会 不登校傾向にある児童の保護者に寄り添う試み
先生投稿

樋口 彰
川崎市立西生田小学校長

学校現場の日常や新たな挑戦など、現役の先生に多くの仲間たちと分かち合いたいことをつづってもらうシリーズ「先生投稿」。その初回は、川崎市麻生区の市立西生田小学校長、樋口彰さん(63)に、不登校気味の子の保護者をサポートする取り組みについて書いていただきました。
保護者が楽になれば子どもにも好影響
2022年秋。「登校を渋っている子の保護者(特に母親)のサポートって必要だよね。今度、保護者のサポートを意識した会をやってみない?」。校内の支援教育コーディーネータ(以下、Co)とそんな会話をしているうちに、「じゃあやってみようか、不登校の子の保護者の会を」ということになった。
我が子が学校に行かなくなって焦っている。原因を一生懸命探り、自分(親)の不甲斐なさを嘆く。わが子とバトルを繰り返し、疲れ果ててしまう。そんな保護者が少しでも楽な気持ちになれば、それはめぐりめぐって子どもたちに良い影響を与えることになるだろうと思った。
会の案内(紹介)は、全体では毎年2月の新入生説明会、4月の学校教育説明会、夏休み前と後の学校だよりで。あとは、児童や保護者の様子をよく把握しているCoが、個別に案内している。
SCの来校日実施、保護者のみの語り合いも
本校の在籍児童は860人。ここ数年、3%前後が長期欠席等に該当している。「マイ登校保護者の会」は、毎回スクールカウンセラー(SC)の来校日に合わせ年2回、午後に実施している はじめに管理職・Coの話が10分ほどあり、その後は保護者のみで自由に語り合う。必要に応じて、SCの話や個別面談も組み込んでいる。
2022年度1月に1回目を開催し、2024年度2月に6回目を行った。毎回5~7人の保護者が参加。時間内であれば途中からの参加も自由で、和やかな雰囲気で悩みを語ったり、勇気をもらったりしている。
「マイ登校保護者の会」のことを他校の管理職や教育関係者に話をすると、画期的ですね、と言われることが時々ある。そして、必ず言われることが、……

樋口 彰
1988年4月、川崎市立小学校教諭として勤務開始。情報・視聴覚センター指導主事、西生田小学校教頭、情報・視聴覚センター室長、下平間小学校長を経て現職。校長着任以来、不登校傾向の児童・保護者、支援教育により関心を持つようになり、校長として何ができるかを考え、実践している。