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「地域移行」始めてみたら…… 持続可能な中学部活動めざし各地で模索

教育話題

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2022.09.24

片山 健志

片山 健志

先生コネクト前編集長

谷田部東県道
公立中学校の休日の部活動は2023年度からの3年間で、学校単位から地域単位に移行を――。スポーツ庁と文化庁の検討会議は今夏、そんな提言をまとめました。地域のスポーツ・文化団体と連携し、平日もできるところから移行に取り組むよう求めています。学校単位の活動が少子化で難しくなり、指導にあたる教員の負担軽減が求められていることなどが背景にあります。持続可能な部活動に向けて、地域移行をどのように進めたらいいでしょうか。全国に先駆けて取り組んでいる事例を取材しました。

「大きく、強く、間合いをよく見て、思い切り!」
ドンッと床を踏み込むと、竹刀がバチッ、バチッとぶつかる音に、「面、面、面、めーーーーん」の声が重なる。茨城県つくば市立谷田部東中学校の柔剣道場で8月下旬、剣道の練習に励む男女9人の生徒たちに、2人の男性指導員が声をかけていた。

生徒は全員剣道部員だが、この日行われていたのは通常の部活動ではない。保護者や学校外の指導者が管理する「DCAAクラブ」の地域部活動だ。DCAAは、学校がある洞峰地区から名付けた「Doho Cultural&Atheletics Academy」(洞峰地区文化スポーツ推進協会)の頭文字から取った。

2018年度に地域団体立ち上げ

剣道の場合、地元の谷田部少年剣友会指導員の冨田文男さん(74)らが学校に来てくれる。DCAAクラブの活動について、2年生の木村陽菜(ひな)さん(14)と沼尻愛さん(13)は「ベテランの指導者の方が礼儀作法も含めて教えてくれる」と話す。同じく2年生の川嶋織久さん(14)は「きめ細かく指導してくれるし、部活がない日にも練習できるので、良い仕組みだと思う」と評価する。

DCAAは2018年度に発足した。谷田部東中の部活動にはそれまで、日没が早い冬場は放課後わずかな時間しかできない一方、大会前などは過熱しがちという他の中学と同様の問題があった。当時の校長には教員の負担を減らしたい強い思いがあり、「部活動の安定」と「教員の働き方改革」の両面から部活動改革に取り組んだ。教員のプロジェクトチームで話し合い、出てきたのが学校外に組織を作るアイデアだった。

DCAAの立ち上げに携わり、現在も担当する大塚篤史教諭(44)は「外部の専門指導者に生徒の文化スポーツ活動を担ってもらう間、先生の負担はなくなる。生徒にとっても、顧問をやりたくない先生の指導を受けるよりよほどいい」とそのねらいを説明する。PTA役員や地区協力員らにお願いして入ってもらった組織には、学校長らも名を連ねる。種目ごとにスポーツクラブや競技団体の協力を得て、専門の指導者と生徒をつなぐ。現在の部活動のうち、11種目でDCAAクラブの活動が行われている。

片山 健志

片山 健志

1999年、朝日新聞入社。北海道支社報道部(現・北海道報道センター)、福島総局、東京社会部などで勤務。社会部では文部科学省など主に教育部門を担当した。「朝日みらい教育フォーラム2017」でコーディネーター。21年4月から25年3月まで寺子屋朝日・先生コネクト編集長。

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